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スラムドッグ$ミリオネア(追記)

オスカー8部門を受賞し不景気な英国に久々
明るめニュースをもたらした英国映画
(どれだけの人数が喜べる心理状況か不明だが)
「スラムドッグ$ミリオネア(Slumdog Millionaire)」
を友人と70歳代以上のお年寄りで賑わう
地元ショッピングセンター内の映画館で観て来た。
【追記】
主題歌Jai Hoの歌詞と英訳(2月27日ブログ)
原作「ぼくと1ルピーの神様」(3月13日ブログ)
====
興味無いとのお怒りは、どうかこちらっ
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映画のトレーラー
Slumdog Millionaire - Trailer HD (Joan Pheonix Trailer)


これは「百聞は一見に如かず」の映画だ。
いや基本的に映画は皆そうあるべきだが
簡単に予想がつき,想像を超えてくれない映画は
少なくない。しかし,この映画は
レビューや粗筋を読んで,わかったつもりになり
ある程度の想像や期待をして観た私を驚かせた。

まず何故英国で「15禁」指定になっているかが
不思議だったのだが冒頭でわかった。
ラブシーンやヌードシーンかと思ったら
(子どもの全裸シーンはあるが)違った。
英国映倫にひっかかったのは暴力だ。

とは言うものの,あからさまな暴力シーンは無い。
主人公ジェマルへのインド警察の取り調べ場面
イスラム系であるジェマルのスラム集落がおそわれ
父母が彼と兄サリムの目前で虐殺される場面
乞食としてヤクザに拾われた孤児仲間のうち
歌の上手な少年が,よりお金をめぐんでもらえる様,
失明される場面
サリムが同じ集落出身の孤児仲間ラティカそして
弟の為に,さらに,おそらく,己の人生の復讐も
こめて引き金をひく場面…
どれも,とことん残虐に描写する事は可能だが
監督は人心に残虐性を喚起するような描写を避け
低温火傷のように緩慢に侵蝕する
間接的ながら現実的な場面として処理している。

息をつかせずに連続する鮮明かつ躍動的な映像が
恋人ラティカの為に「ミリオネア」クイズ番組に出場した
ジェマルの脳裏に質問と連動してフラッシュバックする。
その記憶や彼の生き抜いた経過が
番組の一日目終了後に「いかさま」を疑われ
「逮捕」されたジェマルから担当警部に語られる。
ジェマルは釈放され警察からスタジオに「連行」され
「スラム街の少年が最高賞金額2千万ルピー獲得なるか」
とムンバイ(ボンベイ)中が注目する
二日目の最終番組に登場する。

オースティン・パワーズを長男と一緒にTVで観て笑う
ユルい親である私でも,子どもに,この映画は見せたくない。
やはり長男と一緒にTVで観てしまったKill Billの1%にも満たない残虐度なのだが
戦争やテロのニュース報道を,より悪夢に近づけたような
現実の残酷さと悲哀が,生命の逞しさと笑いに
つつまれて描かれている映画だ。
絶望的ではない
むしろ,「一筋の希望の光」を示唆する結末に
大人であれば心が静かに波打つ映画なのだ。
全ての大人に勧めたい映画なのだ。
しかし子どもには,まだ,観せたくない。
現実の冷酷さを見せたくないだけではない。
インドは,こういう国だと,子どもたちに
偏見をもたせたくないからだ。

実際にインドが,どんな国か,私は知らない。
しかし,もし英国人監督が日本や中国を舞台に
こんな映画を撮ったら私は不快になるだろう。
ダニー・ボイル監督自身が英国北部の
労働者階級出身である事もあってか
「上から目線」は無い。
それでも,インドを植民地化した英国人というところに
私は(過剰に)こだわらざるを得なかった。

逞しく生きる子ども達を明るく描いた場面の数々も
貧困と暴力の濃厚さに圧倒され
あまりにものめりこんでしまい笑えなかった。
こんな劣悪な環境で子どもたちが「明るく逞しく」
生きるのを「見物」するのは苦しい。
現実社会の子どもの生命力には感動するが
そもそも子ども達が,そんな環境で生きる事自身が
悲しく悔しく無力感がつのる。

それでも
貧困の描写は,かなり現実に近いのかもしれないが
気になったのはインド警察の拷問シーンだ。
電気ショックを与えられて気絶した主人公を前に
やりすぎるとアムネスティインターナショナルがうるさいと
電気を指示した警部が部下の手際を叱責するのだが
既に頭を水はったバケツに突っ込んだりしてる時点で,
国際的許容範囲を超えている。

当局からクレームつかなかったんだろうか?
本当にインドはこうだと信じてしまう人も
いるんじゃないだろうか??
実際に,そうなのかもしれない。
でも,それを,わざわざ,自国を侵した国の人間に
指摘されながら
平静に「映画鑑賞」と言い切ったり
したり顔で「これが我が祖国の問題点だ」と言えない
「わだかまり」を,私は故国に対してもっている。

「スラムドッグ」という名称に侮蔑されたと
監督の人形を焼く抗議が実際にムンバイで起きたのだが
問題は,そこじゃないはずだと私は思うのだ。

スラム街から選ばれた可愛い子役達は
監督らの援助によって初めて学校(英語使用)に
通いはじめ18歳までの学費は保証されたし
さらに,そこまで学校を続けられたらまとまった額を
受けとれる(大学進学も可能)ようになったのだが
その美談にも複雑な心情をおさえきれない。

もっとも,偏見に陥らないよう留意す
れば,
この映画は非常に優れているし,心の底からお薦めできる。
映像と脚本と音楽と演技…
二時間の間,一秒たりとも目を離せなかった。
DVDも買うだろうが,映画館で観てよかったと
思わせる映画だった。

英語字幕の多い映画はアメリカで嫌われるらしいが
この映画では最近のTV広告でよく見掛けるような
大きめの字幕を色枠白抜きで画面の下ではなく
画面の中に吹き出しの如く挿入する事で
違和感を無くしているのが,広く受け入れられた
理由の一つでもあるのだろう。

この映画の報道や記事に度々
「Hope希望」という言葉が登場したため
私は,一種の「Feel Good」系映画かと
誤解して観に行ったので余計に衝撃が大きかった。

「希望」は,確かにあった。
だが,この「希望」は
決して光輝く希望ではなかった。
結末の照明そのものの
薄暗い,それでいて確かな
長い夜明けを予感させるような「希望」だった。
そして,その希望は,犠牲によって
もたらされたのであった。

===
主人公ジェマルを演じたロンドン出身18歳の
Dev Patel君。
近所の店主と同じ,インドの「鈴木さん」の様な
非常によくある名字です。
イスラム系じゃありません。

このデヴ君が素晴らしいんです。
眼は心の窓といいますが
聡明さと透明な純粋さが輝く彼の双眸によって,
この映画の好感度は急上昇,大気圏を抜けた
と言っても過言ではありません。

ジェマルの様な育ち方をした子どもが
こんな青年になるかよっ??!!しかも
肌の色も白くなってるしっ!そもそも
なんで,こんなに英語うまいんだよっ?!等々ツッコミは
心の隅に蹴散らして存分に引きこまれました。
決して通俗的一般的なハンサムではない
普通の,どこにでもいそうで実はいない
Dev Patel君を見つけた瞬間に映画の成功は
8割方決まったのではないでしょうか?

現実には,アメリカで知名度の高い俳優が皆無なため
(クイズ番組の司会者はインドで超有名な俳優ですが)
当初アメリカで配給先が見つからず
DVD直行となる寸前で救われた映画が
オスカー8部門受賞した「奇跡」
そこに,ある英紙は,英国の映画産業の苦境を嘆いていました。
===
下はデブ・パテル君,ジミー・キメルのインタビュー。
尖った笑いの達人キメルも魅了されてます。
↓↓

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テーマ : 第81回アカデミー賞
ジャンル : 映画

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